失敗したらどうしよう…人の目が気になる…
人前で何かをしようとした時に不安に襲われ、極度に緊張するなど、極度のあがり症ともいえる症状がみられる場合、もしかしたら『社会不安障害(SAD)』かもしれません。
例えば、大きな舞台で大勢の人たちの見つめる中、何かを発表する、コンサートで演奏者として演奏する、結婚式でスピーチを行うなど、そのようなシチュエーションの際に強い不安や緊張を感じ、本来の目的を十分果たせなくなることがあります。
このように、他人から悪い評価を受けることや注目される行動への強い不安から、苦痛を感じたり、また、自制できない震え、過度の発汗などの自覚症状を伴うことで、ますます緊張や不安を増幅させ、次第にそうしたシチュエーションを避けるようになります。
そうして、日常生活に大きな支障をきたす場合は『社会不安障害(SAD)』と診断します。
『社会不安障害(SAD)』の症状について
社会不安障害(SAD)では、強い不安症状が自律神経に作用し、さまざまな身体症状を発症することがあります。
また、症状が慢性化してくると「うつ病」や「パニック障害」など、別の疾患との合併が懸念されることもあります。
一例として、不安な気持ちを回避するためにアルコールを多量に摂取するようになり「アルコール依存症」となるケースが挙げられます。
- 息苦しくなる
- 通常より多めの汗をかく
- 手足、全身、声の震えが出る
- 何度も吐き気がする
- 口がカラカラに渇く
- 声が出なくなる など
『社会不安障害(SAD)』の治療について
社会不安障害についても、お薬での治療が基本となります。
他の疾患と同様に心理的原因を探求し、医師や臨床心理士(カウンセラー)による対話での心理・精神療法を併用し治療を行っていきますが、症状や進行によっては以下のようなお薬の利用は致します。
SSRI
SSRIは抗うつ作用と不安時の身体的症状の緩和作用を持つお薬で主に諸外国でその効果が認められています。
社会不安障害(SAD)の原因は、現在でもはっきりとしていませんが、『セロトニン』という物質が関与しているのではと考えられています。
脳にはおよそ140億個もの神経細胞があり、それらの神経細胞は、神経伝達物質の制御を受けることで協調して働き、脳全体の機能をコントロールしています。セロトニンもそうした神経伝達物質の1つですが、そのバランスが崩れることが社会不安障害(SAD)の発症のきっかけとして考えられています。
SSRIは、一旦放出されたセロトニンが、もとの神経細胞に再取り込みされることを防ぐことで、神経細胞間の遊離セロトニン量をコントロールし、メンタルバランスを保つためのお薬です。